八正道⑦「正念」について
今回は、八正道の「正念(しょうねん)」についてのお話をさせて頂きたいと思います。
「正念」とは「正しい気づき」といった意味になります。
「正見」「正思惟」「正語」「正業」「正命」「正精進」のブログをお読みでない方は、ぜひ一緒に読んでみて下さいね。
「正見」について
「正思惟」について
「正語」について
「正業」について
「正精進」について
気づきって、何⁈
今、ここにいない。
私達は常に、過去に起こった事を悔やんで落ち込んだり、未来に起こるかもしれない事を想像して心配しています……。
つまりそれって、自分の意識が常に”今、ここにはいない”って事ですよね……。
ご飯を食べている時だって、テレビを観ながら~とか、お話をしながら~であれば、それは”今、ここにはいない”って事になります。
その結果、その時行っている行為の全てが「中途半端」になってしまいます。
生きている事が「惰性」になってしまっているのです……。
反応という惰性
このブログでは、何度もお話させて頂いてきた事ですが、私達は「反応」で生きています。
私達は、外部で起こった出来事に心が「反応」して、次の行動を起こしています。
心の内に「怒り」があれば、とっさにでるのは怒りの反応。
「悲しみ」があれば悲しみの反応。
「喜び」があれば喜びの反応になります。
例えば、人から「バカヤロウ!」と言われた時、心の中に怒りがあれば、反射的に「なんて事を言うんだ!」と反応するかもしれません。
悲しみがあれば「やっぱり自分はそうなのか……」と落ち込むかもしれません。
喜びにあふれている明るい人ならば「あの人、なんで機嫌が悪いんだろう?腹痛かな?」くらいの反応になるかもしれません……。
そしてその反応から起こった感情は、ドミノ倒しのように次の行動、次の行為と連動していくのです。
自動的に……。
それが怖い所です……。
おしゃかさまは、そうやって今の自分に無自覚に惰性で生きている姿は「死んでいるのと一緒だよ」と言ったそうですよ……。
正しく「見る」事……。
たとえ「反応」で生きていたとしても、その反応が「正しい思考」から生まれたものならば問題はないのです。
しかし私達は物事を「正しく見る(正見)」事ができないので、すぐに「事実をねじ曲げて」しまいます。
例えば、晴れた空を観れば「天気がいいな~♪」と思い、雨が降っていると「天気が悪いな……」と思ってしまいます。
しかし本来、天気に良いも悪いもありませんよね。
この場合、実際に目の前に広がっていたのはただの「空」です。「太陽」です。「雨」です。
私達は、自分の価値観をあたかも「真実のように」感じて、事実を「歪曲して」しまうのですね……。
つまり事実を「正しく観察できていない」……という事になります。
これではとても「真実(真理)に目覚める」事なんてできそうにありませんよね(笑)
故におしゃかさまは、正しく”今、起こっている事に気づく事(正念)”の重要性をお説きになっておられるのです。
正しい気づきとは?
気づきの訓練
私達は、普段の生活で、自分の思いクセや思考パターンに結構縛られています。
そしてその思考の連動の中で、ただ「流されるままに」生きています。
しかし「気づきの瞑想」と呼ばれるヴィッパサナー瞑想などを行い、今起こっている事に対して「気づきの訓練」をする事で「あ、いま、自分の心に怒りが沸いた……」と、一時的にその縛りから解放されるようになります。
(事実に)気づいている心は、思考の偏りが無くなり、バランスがとれ、整ってくるのです。
それはまるで鏡のようで、その瞬間は「自分と周りの世界を歪まずに見つめることができている」という状態なのです。
そうして気づきの訓練を実践していくと、瞑想しているときだけではなく、目が覚めているとき、いつでも「心と身体の動き」に気づくことができるようになります。
気づくことで、一連の思考の流れを停止させることができるようになるのですね。
気づきが深まってくると、社会的に条件づけられた反応や習慣的な反応に振り回されず「今、ここで起こっている事実」に気づくことができるようになります。
それによって、心に余裕が生まれ、悪い思考や行動パターンを防ぐことができ、善い思考や行動パターンを育て、維持することができるようになるのですね。
真の安らぎ(幸せ)を得る為に……。
八正道は連動しています。
智慧の眼(正見)を開くためにも、気づきはとっても重要です。
そして、智慧の眼で現実の本質を洞察することが、究極の幸せや心のやすらぎを手に入れるための鍵となります。
自分の中にある智慧を育て、新しい視点で世界を見ることが、きっと素敵な日常を作り出す一歩になるはずです。
気づきの訓練としてオススメなのは、上座仏教で薦めている「ヴィッパサナー瞑想」ですね。
参考資料
【youtube動画】
【本】
実践を学べます。
オススメの本です!
みなさんも、ぜひ日々の生活に応用して、毎日の小さな気づきを大切にしてみてくださいね。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
合掌 くてい 拝