ブレイクブログ上京初期編「自分の中に答えがある」~野口整体との出会い~(後編)
前編をまだお読みでない方は、こちらから先にお読み下さいね。
- 身心の不調で困っている方。
- 真理は宗教だけに存在しているのではないと感じておられる方。
- 宗教・宗派の「〇〇だけが正しい」という話に疲れてしまった方。
人生においての大きな出会い。
アルバイトを探す……。
私はアルバイトを探しはじめました。
ただ、ここでもせっかくの時間を無駄にしたくなかったので、
「アルバイトの時間は食事療法について学べるような仕事を選ぼう」
と考え、自然食品のお店を探しました。
すると、地元にもあった系列の「自然食品やさん」が、最寄り駅の同じ路線上にあったのです。
早速そこに電話をしました。
「アルバイトをしたいんですけれど。募集していますか?」
「ほう、なぜうちでアルバイトをしたいんですか?」
「はい。ボクの本職はお坊さんなんですが、先日、東京に上京して、整体の学校に入学したんです。そこで『アルバイトの時間も勉強になったらな』と思って、自然食品のお店で働きたいな、と思いました」
「そうなんですか……。面白い経歴ですね。もしよかったらうちのお店に一度来てみませんか?」
「ありがとうございます。では……明日、伺わせて頂きます。よろしいでしょうか?」
「いいですよ、ぜひお越し下さい!お待ちしています!」
私の経歴が珍しかったからなのか、私が来店する事を楽しみに感じてくださっているように感じました。
そうして私は次の日、そのお店に伺うことになったのでした。
アルバイトは雇っていない……。
次の日、お店までいくと、店長さんと奥さんがお出迎えをしてくれました。
「昨日お電話させていただきました、くていといいます」
「くていさん、いらっしゃい。どうぞそちらにお掛け下さい」
そうやってお二人に温かく迎えられ、イスを勧められました。
すると店長さんが
「くていさん。実はいまウチはアルバイトを雇っていないんですが、くていさんは整体を勉強されているそうですが、野口晴哉(のぐちはるちか)って知っていますか?」
と聞いてこられました。
私は全く知らなかったので、
「いいえ。聞いた事がありません。」
と答えました。すると、
「野口晴哉って、整体って言葉を造った人だともいわれてるんですよ。」
「実は私の父が野口晴哉の直弟子だったんですけれど、私の兄がその跡を継いで、地方で整体を教えていたんです。しかし今回、兄が東京で整体を教えようと上京する事になったんですが、くていさん、兄に会ってみませんか?」
と言われました。
正直、そう言われたとき、私は迷いました……。なぜなら、
「ただでも学校の整体についていけていないのに、これ以上整体の先生に会う必要あるんやろうか……」と思ったのです。
しかしこの時は、なぜだか断る気持ちも沸かず……。
「ぜひ、お願いします」と了解をしたのでした。
今思えば、これもお導きだったのかな……と思います……。
このあと、自分の人生観を根底から揺るがすような出会いがあるなんて事は……この時の私には想像も出来ませんでした……。
衝撃の出会い
次の週、埼玉に住んでいる先生のお宅に伺いました。
先生は細身で、終始、穏やかな笑みをたたえた方でした。
私はその先生(I先生)の整体を始めて受けました。
先生の整体は、学校のどの技法とも違う感じでした。
マッサージをするでもなく、指圧をするでもなく……。
まさに「体を整えてる……」そんな技法でした。
私は自分が頭痛持ちであることに始まり、自身が整体学校に行った理由、お坊さんとして真理の探究をしている話。しかし元来の怠け者なのですぐに楽を選んでしまう……でも楽を選びながらも罪悪感で苦しくなったしまう……、といった話をとりとめもなくしました。
先生は大学で仏教や宗教学を勉強されていたらしく、このあと先生がお話してくださった話の幅は、私がそれまでに会った人達の中でもダントツに広くて……私は、先生の話の内容にすっかり引き込まれました。
庇いすぎると弱くなる。
「くていさん。人は庇いすぎると弱くなるんですよ」
「例えば、クーラーの効いた部屋に慣れてしまうと、暑い部屋にいる事が耐えられなくなってしまいますよね。」
「薬も、飲んでいる内にだんだんと耐性がついてしまって、だんだんと効かなくなってきます。病原菌が耐性菌として、薬よりも強くなってしまうんですよ。」
「人間はクーラーなどを使って『環境の方を自分を合わせる』事をしてきましたが、その結果、人間の方が『環境に適応できなく』なってしまってるんです。」
「恐竜は絶滅してしまいましたが、この世界では、環境に適応した生物が生き残っていくんですよ。」
「本当は人間の方が、どんな環境にも適応できる『耐性人間』にならなければいけないとは思いませんか?」
症状は必要があって起こっている。
「薬は確かに即効性があって便利なモノですけれど、症状を抑えているだけなんです。『治っている』訳ではないんですよ。」
「押さえられたエネルギーは、どこかで発散しようとします。時には『感情』や『別の症状』として発散しようとするときもあります。」
「咳をすると普段体の緩まない所が緩むんです。ですから体は『わざと』風邪になるって事もあるんですよ」
参考文献:『風邪の効用』野口晴哉著 ちくま文庫
全体を観察する。
「たとえば、子供が何かの症状を持っているとき、時には『治しちゃいけない』事だってあるんです」
「例えば、その子の両親が離婚しそうだとすると、その子は『症状を持つことで、自分の方に注意を向けて、二人を引き留めようと』します。無意識に、です。」
「そんな時、その子にとっては『症状は武器』なんです。」
「もし、その武器を失ってしまったら、その子はまた新しい武器を生み出さなくてはいけない……。それはもっと大きな症状だったり、非行行為だったり……。これも無意識の作用なんですが……。想像して、納得して頂けると思うんです。」
「くていさん、プロは症状だけ観ていてもダメなんです。全体を観ないといけないんですよ。」
自分の中に答えがある。
「みんな病気になると全てお医者さんに任せようとしてしまいますが、お医者さんが生命をつくれる訳じゃないんですよ。」
「薬をのんだら治る、というけれど、本当は、薬を消化して生かしているのも『自分の体』なんです。」
「おしゃかさまは臨終の時『自灯明自帰依(じとうみょうじきえ)』といいましたよね。それと同じなんです。自灯明自帰依。あなたの中に答えがあるんですよ。もっと自分を信じてあげて下さい。」
「くていさんの命の設計図は、くていさんの中にこそあるんです。『自分の中にこそ答えがある』んですよ」
治すのではなく、治る体にしていく。
「私たちの技術は治しているんじゃないんです。『よくなる方向にそっとお手伝いしているだけ』なんです。最終的に治すのは自分の体なんですよ。」
「最も有効な治療とは「人間が治療を完結させてしまわない」事なんです。100セント治療しない。途中で終わる。すると、体が気持ち悪くなって「完結させよう」と働き出すんです。」
「私たちのやる事は自己治癒力を発揮せずに鈍ってしまっている体に「こっちのほうですよ」と刺激するくらいなんです。あとは体が完結させるんです。」
まとめ
おしゃかさまの言葉……。
私は、お坊さんになりながらも怠け者で、いつも体がダルくてしんどい自分を変えたくて、遠回りするつもりでお寺を離れ、整体学校に入学しました。
しかしそこでも脱落して……、そしてたどり着いたこの場所でまさか「おしゃかさまの言葉」を聞く事になるとは……。
しかもその言葉の説明は、今まで聞いたどの説明よりも心に響きました……。
迷いから抜け出そうとして、また迷いだしていた……。
私は当初「人は、裸で生まれて裸で死んでいくというのなら「この機械や薬がないと救えません」ではなく、自分の腕だけで人を元気にできる方法を学びたい」と思ってスタートした筈でした。
しかし、その方法論として、筋肉の専門として整体を……骨の専門としてカイロプラクティックを……と結局「外にばっかり」答えを求め続けていたのでした。
「たくさん知れば、一人前になれる」と思ってしまっていたのです……。
しかしその結果、また迷いの森に迷い混んでしまっていたのでした……。
中心軸を見つけて広げる……。
もちろん、人に伝えるためには、人に施す為には、外の技術も必要です。
しかし「中心」がズレてしまうと、答えも自ずと変わってきます。
先のA先生とB先生の話も「プロとして何を中心とするか」によって出てくる答えが変わってくる典型的な話ではないでしょうか……。
中心軸を忘れて、右に左に……知識ばっかり求め始めていた私は、軸がないから右に行けば右の人の意見に、左に行けば左の人の意見に左右され……そりゃ、落ち着かなかったと思います……。
I先生との出会いは、わたしのに大きな気づきを与えてくれたのでした……。
迷って、悩んで良かったな~と思えた私(笑)
私は、本気で悩んで「どうにかしたい」と迷っていたからこそ、こうして道ができたのかな、と思えました。
「悩まなかったら出会えなかった学び」でしたから「迷って、悩んで、良かったな……」とも思えました。
人って、そうやって迷って、悩んで、そして何かに気づいて成長していくものなのかもしれませんよね……。
「野口整体をもっと知りたい」と思いました。
Wikipedia:「野口整体」
こうして私の東京での「探究生活」が始まったのでした。
次回の「ブレイクブログ」につづく……