ブレイクブログ「大体のことは乗り越えられる!」(前編)
今回は、ブレイクブログとして、私の過去のエピソードを紹介したいと思います。
内容はとってもバカバカしいんですが……。
私がこの「これから始める仏教」で伝えたい「この世界には、決まった答えなんてない」という感覚を、端的に伝える事ができる話かなと思い紹介させて頂きます。
- いま、行き詰まりを感じている方。
- ちょっとした笑いが欲しい方。
美化コンクール事件
先生、部活にあらわれる。
これは中学生の時のエピソードです。
夏休みが終わってすぐの頃、所属していたテニス部に、美術の先生が訪ねてきました。
いつも、あまり表情のない先生です。
先生「くてい君。ちょっと。」
くてい「はい。先生、なんですか」
先生「なんですか、じゃないでしょ……。あなただけよ。夏休みの宿題『美化コンクール』のポスター出していないの。今日中に出しなさい」
くてい「えー。先生。今日中ですか。もう放課後なのに……」
先生「あなたねー。夏休み中に、どれだけ書く時間があったと思っているの。」
先生の言う事は、もっともです……。
でも「描けないから出せない」のです……。
ましてや「芸術(や、アイディア)はタイミング」じゃないですか…。
そんなに簡単には描けません……。
先生「とにかく、今日中に出しなさい!いいわね!。」
そう言うと、先生は、無表情のまま、職員室に帰っていきました……。
くてい、教室に戻る……。
しぶしぶ教室に戻り、専用の紙と絵の具を、机に出す私…。
しかし、ずっと宿題を出していない割には私にもこだわりがありまして…。
それは「出すからには、自分なりのものを提出したい」と言う事であります。
適当に描いて出すことも出来るかもしれませんが、私、その作品を観て「これがあの人ね」と誤解される事の方が、なんだか、すごく嫌なんですよね~。
「これが自分です」と胸を張って「自分のアイディアを形に出来ない、技術のなさ。」は常にもどかしいんですけれども、それでも「どうでもいいような作品」を自分の名の元に人前に発表する事に関しては、心がザワザワします。
しかし、考えても、考えても、よいアイディアは浮かんできません。
そのまま時間だけが過ぎ……。
外もだんだんと暗くなってきました……。
「もう、帰ろうかな……」
これから帰る道の暗さを思いながら、ふと、
「こんな暗い中でゴミ落としたら見えんな……」と思った瞬間、
「そ、それだ!」
わたしの中に「芸術とアイディアの神(切り抜けの神)」が、閃光と共に降り立ちました!!
そう思ってから筆を取り、黒い絵の具をポスターに塗りたぐり……。
……あんなに悩んでいたのに…、数分で完成しました。
くてい職員室に向かう。
くてい「先生、出来ました!」
ニコニコしながら職員室に持って行く私。
先生「あら、あなた今まで描いていたの?」
あんまり表情がないまま、先生がこちらを向きます。
くてい「はい!先生。これです!!」
そう言って、真っ黒に塗りたぐったポスターを差し出しました。
先生「え?……」
先生は一瞬、固まりました。
先生「こ、これは、な、何?」
くてい「はい!『闇夜のポイ捨て禁止(危険)』です!」
「うまいこと言ったなー。」くらいに思っている私の前で、先生の全身は小刻みに震えていました。
「なんか震えているなー。」
そう思った事を今でも覚えています。
新卒採用の若い女の先生でした。
希望に満ちあふれ、憧れの先生として学校で働き始めながら「やっと慣れてきたわ」とか思えてきたであろう頃の出来事……。
真面目な先生でしたから、きっとこんな回答は、想定外だったのでしょう……。
いま思えば、怒りとか、困惑とか、悲しみとか、いろんな感情が先生に突然、あふれて震えていたんだと思えますが、その時の私には分かりませんでした。
「先生、震えてるなー。」
「もっとウケてくれても良かったのにな~。」
何の悪びれも無く立っている私に、先生はワナワナしながら、目も合わさず、こう言いました。
「……もう、帰っていいわよ。」
そう言った先生の顔がさらに「能面」のように無表情になったような気がしました……。
青少年のポスター事件。
再び、先生、部活にあらわれる。
冬休みが終わってすぐの頃、放課後の部活中に、また、例の美術の先生が訪ねてきました。
さらに、表情のなくなった先生です。
先生「くてい君。ちょっと」
くてい「はい。先生、なんですか。」
先生「なんですか、じゃないでしょ……。もう……あなただけよ。宿題の『青少年育成コンクール』のポスター出していないの……。今日中に出しなさい。」
くてい「えー。先生。今日中ですか。もう放課後やのに……。」
先生「あなたねー。あなたという人は……。冬休み中に、書く時間くらいあったでしょ……。」
先生の言う事は、もっともです。
でも、もう一度言います。
「描けないから出せない」のです……。
「芸術(や、アイディア)はタイミング……」
いや、先生に言っても、仕方ないですよね…。
先生は仕事を遂行しているだけ……何も悪くない……。
提出しない私が問題なんです……。
ま、提出しても問題みたいですけれど(笑)
「とにかく、今日中に出しなさい!いいわね。」
そう言うと、先生は、無表情のまま、職員室に帰っていきました……。
くてい、教室に戻る。再び……。
しぶしぶ教室に残り、専用の紙と絵の具を、机に出す私…。
しかし、考えても、考えても、よいアイディアは浮かんできません。
そのまま時間だけが過ぎ……。
外もだんだんと暗くなってきました……。
「もう、帰ろうかな……」
これから帰る道の暗さを思いながら、ふと、
「こんな暗い気持ちで受験は戦えんな(実際、推薦入学だったので特に戦っていない)」と、思った瞬間、
「こっ、これや!」
わたしの中に「芸術とアイディアの神(切り抜けの神)」が、再び、閃光と共に降り立ちました!!
そう思ってから鉛筆を取り……、ポスターに絵を描きたぐり……。
……あんなに悩んでいたのに…、また、数分で完成(笑)、しました!。
くてい職員室に向かう。再び……。
「先生、出来ました!」
ニコニコしながら職員室に持って行く私。
「あら、あなた……そう……。」
あんまり表情がないまま、先生がこちらを向きます。
先生「まぁ、いいから見せてみなさい」
くてい「はい!先生。これです!!」
そう言って、鉛筆の突き刺さったポスターを差し出しました。
「え?………ングング(息を飲み込む音)……」
先生は数秒……、固まりました。
先生「……こ、これは、な、何?」
くてい「はい!『受験戦争に殺される』です!」
「うまいこと言ったなー。」くらいに思っている私の前で、先生の全身はまた、小刻みにプルプル震えていました。
「なんかまた震えているなー。」
その時思った事を今でも覚えています。
「先生、震える人なんかもしれんな……。」
しかし、今回は、微かに唸り声みたいなのも聞こえる(ような気がした)ので、さすがにこれは
「何か(気に入ってない事が)あるんだろう」
と、私にも気づき始めました。
でも、本当に悪意がないので、それ以上は分かりません。
この時、せいぜい思った事は、
「あー。もうちょっとウケてくれると思ったのにな……。」
という事くらいでした……。
何の悪びれも無く立っている私に向かって、先生はワナワナしながら、突き刺さった鉛筆を抜き取り、こう言いました。
「これ……持って帰りなさい……。」
私は耳を疑りました。
「え?抜いたら絵の意味なくなるじゃん……。」
しかし、それ以上の追従を許さない空気を感じ…感じ…感じ…、
その日は職員室を後にしました。
その後、「抜かれた鉛筆」はもう、わたしにとっては「作品の一部」だったので、鉛筆としては使う気になれず、引き出しにしまったままにしていました。
そしたら、いつのまにか……。
その鉛筆は、無くなってしまいました……。
後編につづく
あとがき
如何だったでしょうか。
本編のブログを書くのに時間がかかるので、今回も「ブレイクブログ」を書いてみました。
書いてみた、といっても昔違うブログで投稿した文章を加筆修正してイラストを新しく描きまとめたものです……。
結局、ブレイクブログでも仕上げるまでに時間がかかっちゃうんですよね……(笑)
バカみたいなエピソードなんですが、私はこうした思考も今の自分に繋がっているな~と感じています。
後半では学生時代こうした人生を送ってきた私が、成人してお坊さんになり、近所の子供の相談を受けた時のエピソードになります。
また加筆修正してイラスト描いて作るので時間かかりますが……どうか前編後編まとめてお楽しみください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
くてい拝